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特別刑務所(仮)

第22章 瀬川。

「おい、危ないぞ?」
「えー?平気平気!だってこんな道じゃあ、バランス崩さないもん」

さっきまでわざとだよーと、得意気に笑う。

「あっそ。って、だから悩みごと?狩野に気を使って話さなかったんだろ?」
「うーん。るーちゃんのそういうところ厄介だなー。」
「・・・・・・」
「向こうに少し座れるところあるんだ。そっちにいこうか。」


段差から飛び降り俺の手を引くと
木でおおわれた細い小道を歩く。
人の気配が全くないその道。
俺の手を引く瀬川は一度も振り返らない。


「ちょ、瀬川!?怒らした?余計なことだった?なら話さなくてもいっ、」

それまで下を向き転ばないようにしていた俺はぱっと手を離され思わず顔をあげる。

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