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闇夜に輝く

第18章 サイドストーリー 〜尊と楓〜

「行ってらっしゃい」

今日もタケルは笑顔で見送る。
誰もいなくなった部屋でふと気づいた。今日で25歳になった。
ただし誰もそれを知らない。最近一緒に住み始めた楓(かえで)でさえも。

百瀬 尊(ももせ たける)の人生はこれまで怠惰と惰性の連続だった。人よりほんの少し整った顔立ちと、母性本能をくすぐる性格、屈託のない笑顔で、仕事らしい仕事もほとんどせず暮らしてきた。

要はヒモだ。

ただし、世間的に言われているヒモと少し違う。
タケルは相手に何も要求したことはなかった。
ギャンブルもしなければ、他の女性と遊ぶこともない。タバコや酒もやらない。
毎日家にいて、最低限の家事をし、それ以外の時間はネットをして過ごす。
女が疲れて帰って来ればマッサージをしてあげる。
そのまま女がタケルの身体を求めればそれに応える。
しかし自分から女の身体を求める事はしない。

そしてそんな生活を続けているうちに、女から結婚を迫られたり、仕事したら?と強く言われたら何も言わずに姿を消す。それっきり戻る事はない。

そんなことを何度も繰り返してきた。

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