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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第7章 恋という名の下心



もしかしたら、男にこんな風に言い寄られるのは初めてなのかもしれない。



ヘタしたら、キスすんのも初めてなのか、ってぐらい、



拒否る感じがハンパないぐらい激しい。



それはそうだ。



俺が好意を抱いていることを知って嫌悪感を持ったぐらいだし。



時々、息が出来なくて口呼吸をしようとした隙をついて舌を滑り込ませても、



逃げまくって捕まえられない。



勢い余って床に組み敷く体勢になってもそれは変わらず、



俺が根負けして唇を離してしまう。



肩で息をしながら挑むように俺を見上げるが、怯むことなく両腕を押さえ、下半身を足で抑え込んだ。



千「離してっ!」


「せっかく優しくしてやる、って言ってんのに…」



何か確信があったワケじゃなかったけど、



眉をつり上げ、睨み付ける綺麗な顔に顔を近づけ言った。



「もしかして、例の大好きな伯父さん、とやらに操たててる、とか?」



途端、その綺麗な顔が傍目でハッキリと分かるぐらいに硬化した。



え…ウソだろ…?



千「違う……。」



俺から視線を逸らし、小さく頭を振りながら何処か遠くにいる誰かに向けて訴える。



千「違う…そんなんじゃない。そんなんじゃ…」



そう繰り返す瞳に張った涙の膜が、



一筋の涙となって目尻を伝い落ちていった。



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