テキストサイズ

言葉で聞かせて

第8章 猫に恋敵

敦史目線


千秋の不穏な態度の原因を探り、そしてその元凶を断ち

さらに

千秋に思いを告げ、告げられ
相思相愛関係にあったと気づき

数日後には俺たち3人の間にはそれまでの平和な空気が戻ってきていた

変わったことといえば


「んじゃ俺、今日同伴あっから先行くわ」


俺がスーツを着て家を出ようとすると千秋が近づいてきた
その顔はほんの少し不機嫌

理由はわかってる

"今日同伴"だからだ


「行ってくる」


少し半笑いでそう告げれば千秋は精一杯背伸びして俺にキスをした


変わったのは、これ
今までなかった所謂「行ってきますのキス」をするようになった


もはや最初に交わした約束なんてものはないのと同じで双方ズブズブな関係って訳だ


柔らかい感触を唇に残しつつ、俺はマンションを出た


同伴する女との待ち合わせ場所に向かうため歩いていると


「ごめっ……なさ……」


と、小さな謝罪の声が聞こえた


なんだ?


その後も続く声を頼りに細い路地を覗いてみると、男が4人

1人は小さく細いが、その周りを囲む男達はデカくガタイもいい


「いいからおら、金出せよ」
「俺ら困ってんだって」


ぎゃはは、と下品な笑いを響かせるそいつらにため息が出た


朝からカツアゲかよ

ストーリーメニュー

TOPTOPへ