
言葉で聞かせて
第10章 再来
差出人『柏木真菜』のメールを開く
『昨日と同じところ。50万』
「……なんだこれ……」
「なに?……ぇ……」
俺が顔を顰めたのを見て悠史が携帯を覗き、俺と同じ顔をする
「これって明らかに……」
「脅されてるな」
どこのどいつだ
柏木真菜
許さねえ
「柏木さんからのメールはこれだけみたいだね」
「っつーことはこれより前に手紙でコンタクトがあったってことだ」
俺と悠史は改めて千秋宛の手紙を見た
「見つけ出してぶん殴ってやんねぇと気がすまねぇ」
「これのせいで千秋さんが事故にあったのかもしれないし、本当に許せない」
あぁ、そうか
こいつのせいでショックを受けた千秋がフラフラ歩いてたのか
それで事故に?
イライラする
どこのどいつだ柏木真菜
「……千秋さんの部屋、見てもいいかな」
「いいだろ。緊急事態だ」
千秋が風呂に入ってる間に終わらせちまおう、と俺たちが立ち上がると千秋の携帯から着信音が流れた
メールだったらしく、画面にはその差出人の名前が表示されている
「……柏木真菜……」
「……」
今回の不幸の原因から来たメールを俺は躊躇いなく開いた
