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言葉で聞かせて

第5章 再発


でも多分それは失敗だったんたと思う

部屋の明かりを消して二時間経っても三時間経っても


寝れない……


僕は眠りにつけないでいた

そんな僕とは反対に隣の千秋さんはすやすやと寝息を立てて心地好さそうに眠っている


綺麗な寝顔


僕は千秋さんの布団をかけ直しながら寝顔を盗み見る

整った顔は瞳が閉じられていても十分美しい

けれど僕の目が行ったのは
軽く開いていて、僅かに湿った口


ドクン、と心臓が大きく鳴った



だめだ



そう自分に言い聞かせる

けれど息は徐々に荒くなってきている



だめだ

我慢しなきゃ

傷つけるわけにはいかないんだから



僕はとにかく千秋さんの顔を見なくて済むように千秋さんに背中を向けた

いっそ眠れなくてもいいから、どうにか今夜やり過ごせればいい

自分の奥で疼く物を必死で押し殺して僕はひたすら朝を待った





外で鳥の囀りが聞こえる

ようやく朝か

自分を褒めてあげたい
よく頑張った


でもまぁ、不安だったんでしょうし
仕方ないですね

今回だけは


しかし僕の考えは甘くて

千秋さんは次の夜もそのまた次の夜も、僕の部屋を訪れては添い寝を強請ったのだった

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