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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第5章 ~試験飛行~

「<ブリッツ>の項目を見てみろ、もっと絞れるハズだッ!あまり放電を広げると機体が不安定になる、さっきも言ったが放電後はすぐに回避移動だ…狙われる」

「わかりました…」

「推力や操作性は早めに慣れて欲しい、試験の目的は既存の機体との相性だ!運用がうまくいくようなら新鋭機を開発しなくても既存の機体を流用できるからな」

「コレって…、やっぱりメーカーが違うんですよねぇ…」

「そうだな…アナハイムはモビルスーツで手いっぱいだろうからな、特に“フリューゲル”は航空機だ…月の人にはわからない」

「…でも“クラング”も“ヴァルキューレ”もメーカーが乱立するから今の戦闘があるんじゃないですか?コレってメーカーの競合試験をボクらがやってるみたいで…」

「生き延びる可能性が高まるなら何だっていい…、ジオンみたいな制圧作戦よりも今のシェア争いのほうが健全だ」

「…そんなもんですか…」

「…」

昔のような地球と宇宙を全土に渡る大戦はすでに無く、ジオン狩りといわれる掃除も減少傾向だ

軍に出資している企業体は複雑な連合を組んでは各地で小競り合いをさせ、軍備に取り入れてもらおうと躍起だ

“フリューゲル”シリーズも高価で大掛かりなモビルスーツから低コストで軍にねじ込もうとするメーカーの産物だ

それはナオトが着ているパイロットスーツも、手にしたドリンクボトルも、シンシアに密着したアンダーウェアも同じことだ

どこかの企業のライセンスなのだから

再びナオトは幼く見える上官を見つめてしまった

「…すっ、スイマセン」

「……慣れてる」

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