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暗闇で恋しましょう

第4章 それは手の届かぬ場所に

それにしても、妙に喉が渇いた。


さっきまでの小競り合いのせい、と言うには激し過ぎる乾き。


水分を補給しなければいけないのだろうが、暑いし、まだ頭は揺れてるしで正直、動きたくない。


頭が揺れているのは、確実にひぃちゃんのせいだし、ここはひぃちゃんに。


とひぃちゃんを見るも、視線はもはや私を見てはおらず。


帰りに買ってきたであろう雑誌に向けられている。


その上、団扇で自分のみを扇ぐという下衆い行動を行なっていた。


その姿を見て、私は自分で行動するしかないと悟った。



偉い子私。頑張れ私

所詮ワンルーム

冷蔵庫は、すぐそこだ



自分で自分を奮い立たせ、立とうとした時。


掛けられる、言葉。



「あ、そうだ。お前、風呂入れよ」



.......?

お風呂?何故?



素直に疑問に思う。


しかし、その疑問は10秒経たぬ内に、自己解決。


冷蔵庫に向けていた顔を、思い切りひぃちゃんに向ける。


未だ雑誌にしか目を向けないひぃちゃんに寄り、ぐいっと雑誌をひぃちゃんの手ごと下げる。


ばっちりあう瞳。


ひぃちゃんの眉間に皺がよったのが分かった。

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