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暗闇で恋しましょう

第7章 酔っぱらいの戯言(=本音)

それの包装の綺麗さは、高級感溢れんばかりで。


あぁ、とうとう私も大人の階段を……


なんて大袈裟に思ってみたり。


思ったけども、アルコール度数はあってないようなものを選んだらしい。


まだ未成年だから、との水上さんの気遣いなのだろう。


その気遣いを私という奴は呆気なく無駄にする。


本当に1口、1欠片。


私は酷く酔いやすいらしく、それだけでこんなにも気持ちが舞い上がっている。


ゆらゆら揺れながら、陽気に鼻歌を唄う。


そのまま踊り出したいくらいで。


ひらりひらりと腕を蝶のように動かしてみる。



「………杏ちゃん笑い上戸なんだね」

「笑い?笑うー」



にこーっと笑って見せれば、水上さんもにこーっと笑ってくれて。


その綺麗な顔が笑うと、心も揺れ動くってなものだ。



「あぁ!私は、何て罪な女なの?ひぃちゃんも、水上さんも好きだなんて!」



大袈裟に天を仰いで見せる。



「へぇ……?杏ちゃん、俺のことも好きなんだ?」



意外そうに吐かれたその言葉に、視線を水上さんに移す。


細くされた目の何たる色っぽいことか。



ぞくぞくしちゃう………



「ストップ」



いつの間にやら水上さんに迫っていたらしい自分。


目の間に出された掌に、むぅと口を尖らせてみせる。

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