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暗闇で恋しましょう

第9章 お買い物2

余程大事にしているその様子に1度だけ、誰からのものか聞いたことがあった。


だけど返答はなく、怒っているのか泣いているのか分からない顔をされた。


それからは1度も聞いた事はないけど、羨ましいと思ってしまう。


あの腕時計をあげた人のことを。


あんなに大事にされる程、ひぃちゃんに想われ、あんな顔をさせる程、未だにひぃちゃんの心を占領している。


だからって、諦めようとも思わないけど。


むしろ燃えるくらい。


ライバルがいた方が何かと張り合いが出る。



見てなさいよー

ひぃちゃんに腕時計をあげた人!

すぐに私でひぃちゃんをいっぱいにしちゃうんだから!



びしぃと誰でもなく指を指す。


瞬間、脳天にずびしと鈍い音。



「っ………」

「通行人が驚くから突飛な行動するな」



それが叶うのは大分先な気はするけれど。



「ひぃちゃん。服屋さん行こう」

「は?さっきい」

「違う雰囲気の場所見付けたの!次こそ選ぶから!」



ぐいっと腕を引っ張り、無理矢理連行。


まずは第1歩。



“どっちがいい?”、を突破せねば!!



確実に論点がずれているが、そんな事は構わず私は歩みを進めたのだった。

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