
いつか手をつないで歩こう
第16章 命
次の日。私と浩輔は、レディースクリニックを訪れていた。
「香坂さん、おめでたですよ。
こちらの画面を見ていて下さいね」
「はい」
浩輔も診察室に入っていて、二人でモニターの画面を真剣に見つめた。
「この黒く写っているのは、胎嚢(たいのう)と言って、赤ちゃんが入っている袋ですよ」
先生が私達に説明する。
「…っ」
私と浩輔の赤ちゃんだ…!
確かに命が宿っていた。
すごく嬉しい…。
「出産予定日は12月下旬です。4ヶ月までは流産の可能性があるので、安静に過ごして下さいね」
「わかりました」
優しい感じの女医さんで良かった。
ーーーー
クリニックの帰り道、私達は公園のベンチに座っていた。
平日の昼下がりは、何組かの母と子が楽しそうに遊んでいた。
私達はさっきから無言でいる…。
だけど私の心はもう、決まっていたから。
「浩輔安心して。私がひとりでこの子を産んで育てるから」
「なに…っ?」
