
いつか手をつないで歩こう
第6章 クリスマスの夜
やっと残業が終わったぁ。
もうこんな時間。浩輔は今日、孝宏君達と遊びに行ったから、夕飯の心配はしなくて大丈夫だわ。
今晩は一人か…。
そう考え、ロビーから外へ出ようとしたとき。
「美雪さん」
「っ」
私を呼び止めるこの声は…。
振り向くと、前野さんが微笑んで立っていた。
私は少しぎくしゃくした感じで、前野さんを見つめた。
「…」
「君が降りてくるのを待っていた。この間は本当にごめん」
「もう気にしていませんから…」
「お詫びにご馳走したいんだけど、これから食事に付き合ってもらえないかな?」
「えっ」
