
いつか手をつないで歩こう
第9章 地震
年が明けて、1月も半ばのある日。
私は会社の郵便物を出しに行くため、エレベーターを待っていた。
チン!
扉が開いたそこには…
「あ、美雪さん!やっと会えた」
にっこり笑う前野さんが立っていた。
「こんにちは。お疲れ様です」
私はエレベーターに乗り込むと、前野さんに話しかけられた。
「年明けに、すぐ出張を命じられてね。きのう戻ってきたところだよ」
「それで最近お見かけしないと思っていたら。出張だったんですね」
「お、もしかして僕のこと気にかけてくれてたんだ?」
「えっ?」
私をからかう前野さんに
くすっ。
私は思わず笑みをこぼした。
グラッ…
「なんだ?」
「ええ」
だがその瞬間。
【ガタガタガターーッ】
ものすごく大きな揺れが始まった。
