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いつか手をつないで歩こう

第13章 涙のバレンタイン


浩輔side

俺はあれからもう、3日もまなの所にいる。


あの日…。

ーーーー

「あいつが君のお兄さんさんだって…?もっと詳しく説明してよ」

まなは静かに話し始めた。


「私が中1の夏、父が再婚したんです。そして私には3つ年の離れた兄ができました…」


「そうだったのか…」


俺にはその後の展開が、なんとなく予想できた。

まなの顔が歪み

「…う…グスッ、」


大粒の涙をこぼし始めた。

「私兄から…レイプを受けてたんです…ヒック」


俺はぎゅっと目を閉じた。

「もういい、もういいよ言わなくて。よく我慢してきたな、まなちゃん。えらかったぞ」


「浩輔さんお願いがあります。兄が私をあきらめるまで、どうかここにいて下さいっ…」

「それは」


しばらくの沈黙の後、俺は言った。

「まなちゃん、最初に断っておくけど…俺には大切な人がいる。今も俺の帰りを待っているんだ」

「わかっています。それでも帰らないで下さい、今日だけでもいいから」

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