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Fallen Angle

第2章 in

白濁した熱いものと駿の匂いをシャワーで落として寝室に戻ると、ひとまとめにした髪を下ろして下着姿のまま鏡に向かい化粧を始めた。
思い出したように鏡台の引き出しを開けて中を探っていると寝室のドアが開き
「何やってるの?」
「客から貰った指輪が見当たらなくて…今から会うからないと困るんだけど…知らないよね?」
「…え?うん…」
駿は目線を逸らし、ばつが悪そうに鼻先を掻いた。
乱暴に引き出しを開けてジュエリーケースを強引に引っ張り出すと、勢いで手から滑り落ちアクセサリーが床に散らばる。
「もう、嫌…」
顔を歪めて床にしゃがみ込む蓮の隣で屈んでひとつずつアクセサリーを拾いながら
「雑に扱ってるから見つからないんだよ。片付けておくから行っておいでよ。時間ないんでしょ?」
駿の言葉にサイドテーブルに目を遣ると、目覚ましの赤いLEDが急かす。
起きあがり再び鏡台に向かうと慌てて化粧を仕上げて、髪を簡単に髪をまとめてワンピースに着替えるとバッグを掴んで部屋から出て、クロークからコートを取り出して羽織ると、ピンヒールをつま先にに引っかけてドアを開けた。
「いってらっしゃい」
笑顔の駿に振り向きもせず、慌ただしく家を出ていく。
エントランスを抜けて地下に降りると、コンクリートに囲まれた駐車場に向かった。
キーレスの音が反響してハザードが点滅すると車に乗り込み、マフラーの低い音を響かせて走りだした。
灰色の空をボディに映しながら先を急ぐ。
待ち合わせたカフェに着くと、奥にある駐車場に紛れるように車を停めた。
自動ドアを抜けるとコーヒーの香りが漂ってくる。
奥のテーブル席で本を読む初老の男の隣まで歩いていくと
「待たせちゃってごめんなさい」
読んでいた本に栞を挟んでテーブルに置くと蓮に柔らかな笑顔を向け
「立ってないで座ったら?朝食まだなんだろ?」
「うん、ありがとう」
向かい合わせに座り、メニューを手に取ると
「あれ?指輪はどうしたの?」
一瞬、間が空き
「石が外れちゃって…お直しに出そうと思ってるの」
「言ってくれたら新しいの買ってあげるのに…後で行こうか?」
メニュー越しに
「いいの?でも、申し訳ないよ」
そっと手を握られると男のかさついた肌の感触。
「気兼ねしなくていいんだよ」
顔に皺を作ってはにかんだ。
店員が近づき、蓮は少し迷ってメニューを指差して注文した。

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