
エスキス アムール
第9章 変態熊吾郎
「どうも申し訳ありません。
騒がしくて。」
「いや、いえ。
…大野さんも大変ですね。」
彼は、そう言って苦笑をし
襖の方を見た。
ああ、この人
変態熊吾郎の変態性に
気が付いたな。
…いつも一緒にいる
秘書でさえわかっていないのに。
お恥ずかしい。
「いえ、申し訳ない。
お見苦しい所を、お恥ずかしい。」
ドン引きしたんじゃないですか?
我が社に。
社長は会社の顔ですからね。
わかります。その気持ち。
なんて、いえない。
苦笑をして誤魔化し、
改めて木更津さんを見ると
彼は、俺のことを
舐めまわすかのように、
見ていた。
そこに、先ほどの爽やか好青年の面影はない。
……なんだ?
急にどうした?
思わず、
後ろの秘書を見ようとしたけど、そこは耐えた。
だめだ、見ちゃ。
