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エスキス アムール

第20章 彼女との時間




「今別れたところ。」



彼女の背中を見送って
すぐに彼に電話をした。


「いちいち、
報告はいらないよ
愛の告白ならいくらでも聞くけどね」



「…」


出た。
木更津ワールド。

こいつは電話でも
何も変わらない。

困ったもんだ
ホモっていうのは。



「とにかくさ、
泣いてたから、
大丈夫かなって思って…

なんか、
なんて言ったらわかんないけど…」


「元気づけてあげろって?
いやだよ。
僕はホモだよ?」


「今関係ないだろそれは!」

あほか!!


「とにかく、わかったよ
愛の告白じゃないのなら
切るからね!」


「あ、ちょ、木更津!」


「なに?」


「……この前はありがとう
…本当に」


「いーえ。」



ブツ

彼は、本当に忙しいのか
面倒くさいのか
聞きたくないのか

あっという間に電話を切った。
通話時間を見たら、
33秒だ。

みじか!


面倒くさそうにはしていたけど、
あいつはやさしいホモだ。

きっと、
何かしらの
気遣いをしてくれるだろう。



時間を見ると、
昼休憩が終わろうとしていた。


また、アホ社長に
こき使われる。
遅刻なんてしたら、

何言われるかわからない。


だけど、
今日は良いことが待っている。


今日は、彼女が家に来る日だ。














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