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エスキス アムール

第4章 巡り合わせ2





激動の一日が終わると、
タクシーではなく、
歩いて公園に向かった。



たまにくる公園。

夜空が綺麗に見えるから、
とても好きだった。

こんな日は
星でも見ないとやってられないよな。


星を見上げて溜息をつく。

秋風がフワッと頬を撫でた。

目を閉じる。

心地好い。



季節は
冬が一番好きなのだけれど、
こうして
何も羽織ったりせずに
外に出られる秋は楽で良い。


丁度いい気温だな〜

手を伸ばして
もう一度目を開けると、
さっきよりも目が慣れて、
一段と綺麗に星が見える気がした。



その時だった。

「…大野さん?」


何処かで
聞いたことのある声だった。


顔をあげる。

ちょうど
月との逆光で顔が見えない。

誰だ…?



起き上がろうすると、
その人がしゃがんできたので
ようやくハッキリと
顔を見ることができた。



「…あ…!」

アカリちゃんだった。



「覚えていてくださったのですね。
嬉しい。」

反応を見せた俺に、
彼女は微笑んだ。

月明かりのしたで微笑む彼女は、とても綺麗だった。






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