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エスキス アムール

第34章 彼の選択






「…きさらづっ…や、め…」


彼の腰を押さえつけ、ゆっくり動かすと
彼は涙を流してフルフルと首を振った。
段々スピードをつけて腰をひたすら打ち付ける。



「あっ、んい、た…あっ」


前戯もなければ何もない。
いきなり突っ込まれて打ち付けられる痛みは、酷いものだろう。
彼を突くたびに彼のキレたところから血がでた。

こんな酷い行為はない。
だけど、こうすればきっと彼は…。



「や、……」

どんどん彼の呼吸は弱弱しくなる。
漏れた呼吸から小さく絞り出した声が聞こえた。




「お前なんてさっさと彼女のところに行けばいい。」


そう言うと彼は、目を見開いた。
何でとその口は動いたように見えた。

そして直ぐに、
小さく首を振って僕に何かを訴える。

彼はもう、声が出ないほどに
傷んでいるのだ。



ごめん。
ごめん。

ごめん。



僕のこと許さなくていいから。
嫌いになればいい。

幸せになって欲しいんだ。

もう抵抗する力もなく、されるだけの彼を突いた。
そんな僕を呆然と虚ろな目で彼は見つめる。
顔は涙でぐちゃぐちゃで髪の毛はぼさぼさだった。





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