
エスキス アムール
第6章 甘い体験
「受付を通す」
「それはもうOKだね。」
他は?」
「…イレないこと」
「うん、他は?」
「あとは…無いです」
「あれ、キスは?」
「キスはOK」
「あ、そうなんだ。
よし。OK!理解した。」
私は少しだけ嘘をついた。
キスは
お店からは禁止されていないが、いつもは私は断っている。
この時は
なんで彼に嘘をついて
キスをOKしたのか不思議だった。
だけど、
その理由は後々すぐに発覚することになる。
大野さんは
私の涙を指で拭うと、
私の手を引いて、
ベッドへ向かった。
そして、ゆっくりと横になる。
さっきの行為が少しだけ蘇って、呼吸が苦しくなった。
そんな私に気が付いてか、
ゆっくり、
優しく、
私を抱きしめる。
彼の優しさが
身体全面から伝わってくるようで、
また、泣きそうになった。
「…アカリちゃん」
彼の声が私の源氏名を呼ぶ。
これは仕事なんだ、そう大野さんに言われているようだった。
