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エスキス アムール

第55章 オムライス

【波留side】




俺はいつになくそわそわしていた。
あれから一応毎日矢吹とは連絡を取って、お母さんの容態を聞いている。


異常はなさそうで、落ち着いているそうだ。


矢吹と連絡を取って仕事に行き、帰ってきて、なにかを作ろうかと思案したが、木更津が食べたいものがいいだろうと思ってやめて。

風呂を洗ってお湯を沸かして。
無意味に掃除をしたりしたけと、特に時間も稼げなくて。




うろうろと、部屋のなかを歩き回っているときだった。




がチャリ



鍵が開く音がして、急いで玄関に駆け寄る。


ようやくこれで仲直りができるのだと思うと、とても楽しみで仕方がなかった。




「……っ」



ゆっくりとドアが開いて、その人が現れる。
会っていないのはほんの少しの時間だけど、久しぶりに会うような気がして、緊張して顔が強張った。




「…………!」


木更津はゆっくりと玄関にたっている俺の姿を目に入れて。
驚いたような顔を一瞬した。

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