
エスキス アムール
第59章 依存性
昔のほうが勇気があったと思う。
こんなにヘタレになってしまったのは相手が木更津だからだ。
大事な人に嫌われたくない一心でする行動はどんどん裏目に出てしまう。
あのとき、木更津に面と向かって聞けば良かった。
好きだと伝えて、仲直りすればよかった。
それなのに。
思い立って、木更津がいた場所に直ぐに戻ってみたけど、もう誰もいなくて。
だけど、電話をかける勇気もなかった。
どうしたらいいんだ。
もしこれで、連絡をとって別れようとか、お前なんて知らないとか言われたらどうしよう。
「……さん…大野さん!!」
「…っあ…ごめ……なに…?」
呆然としている俺に、高峰は携帯を指さした。
「携帯。光ってますけど。」
