
エスキス アムール
第62章 離れない離さない
「…ん…っぁ……こ…へい…だ…っ…んぅ」
木更津の舌が口内を暴れまわる。
さっきからずっとキスばかりしている。
木更津は泣きじゃくる俺を矢吹の家から引っ張り出すと、無言で車を出した。
運転中、ぐずぐずしている俺の手を彼は離さず、その手を俺はずっと握っていた。
早くキスがしたい。
早く木更津に抱かれたい。
その気持ちが抑えられなくて。
駆け上がるように自分の部屋に入って、どちらからとも無くキスをした。
唇を合わせながら、お互いに身につけているものを剥ぎ取り、ベッドに着く頃には俺は何もつけていなかった。
そのまま押し倒され、久しぶりに直に木更津の体温を感じる。
肌と肌が触れ合っている。
たったそれだけのことなのに、どうしようもなく涙があふれる。
そんな俺を見て、木更津は笑うかと思ったけど、珍しく余裕がないような顔をして俺の唇に吸い付いた。
