テキストサイズ

エスキス アムール

第66章 木更津の動揺

【三嶋side】





「♪~♪~~♪」



怖い。
社長がご機嫌過ぎて怖い。



あれから修羅場みたいになっちゃって。
どこかに引っ張られていった波留くんをとても心配したけど、次の日会社に来たら、このさまだ。



社長は朝から鼻歌で、昨日の青白い顔をしていた人と同一人物だとは思えないほどの変わりようだ。


先ほど波留くんに電話して大丈夫なのかと聞いてみたけど、


『だ、だいじょうぶ……あの…平気だから…』


と、なぜかデレデレしながら電話を切られた。


あのあと、車か何かでイチャイチャしたに違いない。

この社長のことだから、お仕置きだよだとかなんとか言って。




「社長、昨日は大変申し訳ありませんでした。」


そういう私に、社長は笑っていった。


「ん?いいよ。たまには、ああいうこともなんか良いなって昨日思ったんだよね」


ああいうこと…。



ああいうこと
ああいうコト
ああいうプレイ…



社長が波留くん相手に使うと、如何わしい言葉にしか聞こえない


「そ、そうですか…」



珈琲を出して、社長の前に置くと、啜って美味しいね、と言いながらにこりと笑った。

まあご機嫌なのはいいことよね。



「そういえば…ご存知ですか?最近近所に花屋ができたの」

「ああ、知ってるよ。なんか…結構人入ってたよね?」

「あそこ、珍しい青い薔薇が売っているらしくて人気だそうですよ」




ストーリーメニュー

TOPTOPへ