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Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー

第12章 Step 12



3日目、ようやく平熱に戻り担当医からは
一日様子をみて熱が上がらなければ退院の許可を出す
と言われていたが、まだ歩き回るわけにいかないのでスマホの電源は落としたままだった

歩けるようになれば売店横の談話室でメールだけでもできるのだが

流石に一日中寝ていられないので本を読んで過ごした

一果の好きな洋物の長編冒険ものだったがちっとも頭に入らなかった

夕食後、明日退院の許可が下りたので早速スマホを片手にいそいそと休憩室に来ていた

いざ、里見にメールをするとなると何をどこからどう伝えたら良いのかわからなくなった

しばらく考えた末、結局、熱が出て講義を休んでいたことだけ伝えるメールになってしまった

佐藤へもお見舞いの御礼と明日退院するから心配しないようにと簡潔に送信した

しばらくそのままぼんやりテレビを眺めて過ごしていると、ふとスマホが震えた

佐藤くんからだ

___明日退院だって?
良かったな
とりあえず、家に帰ったら学校いつから来れるのかメールして
ゼミのことは心配するな
資料は全部取ってあるから

佐藤くん…

___ありがとう
心配かけてごめんね
家に帰ったらまたメールします
ゼミのこと、よろしくお願いします

返信すると病室へ戻りベッドに横になった
やはりまだ本調子ではない
少し疲れた

目をつぶると、雨の中微笑みながら里見を見つめる彼女の横顔や二人の後ろ姿、あの日の光景がどうしてもフラッシュバックしてしまう

ああ、また頭痛がしてきた
どうやらこの頭痛は熱のせいだけでは無いようだ


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