Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー
第17章 Step 17
佐藤が里見の研究室を訪ねた日、里見はその足で一果の自宅を訪ねていた
伯父、伯母はまだ帰宅していなかったが、とにかく話したいことがある、という里見をリビングに通した一果にお茶も断ると、珍しく切羽詰まった様子で話し始めた
「彼に言われたよ… 一果を守れないのなら手を引けっ、て」
「あの、 里見さん…」
「そうだよな、確かに彼の言う通りだ… 会いたい時に会えないんだ、何かあった時に守ってやることさえ出来ない」
「……」
「しばらく離れた方がいいのかもしれないな… 一果も卒業後の事、色々、ゆっくり考えたいだろ?」
「里見さん…」
どれくらいの沈黙があっただろう
一果はそれきり何も言わなくなった
しばらくすると、下を向いたままこくりと頷いた
それを見た俺も、それ以上何も言わずにその場を離れた
一果一人残して…
大人げ無かった
今、冷静に考えてみるとあまりにも大人げ無かった
俺は自分の思い通りにならない事を、一果のせいにして辛く当たっただけだ
取り返しのつかない事をした
俺はその時、後悔してもしきれない、2度と取り戻せない大切なものを失った