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同じ空の下で

第7章 秋桜

街路樹が色づく頃

毎年決まった日に

幼い頃を過ごした街に行く


産まれ育った街は

行く度に少しずつ景色が変わって


今は遠く離れた場所に棲んでいるから

その日は始発の電車に乗って

いつも窓際の席に座って

揺られる車中はずっと窓の外の景色を見てる



目に入る景色は時間の流れを感じさせるけど

私はいつまでも立ち止まったまま…

ひとり、時間の流れに取り残されてる気がして

近づくほどに不安になる


家族が眠るその場所には必ず一人で行く

大切な場所、大切な日

そして抱えるほどの秋桜の花束


思い出さない日は1日もない

でも命日はその想いがいつよりも強くなり

生きている自分と家族の境界をよりいっそう強く感じてしまう

毎年
来年こそは一緒になっていたいと願っていた


あれから十数年、願いは叶えられず




でも今年は違う想いでその場所で語りかけたい

きっとそれが出来るはず…

心を強く持ってその日まで、頑張った報告が出来るように日々を送っていく




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