社長様のモノ
第2章 二人の関係
私は 結局 されるがままで、煌貴のシャツの裾を、クシャッと握った。
弱々しく力が入ったそこに、煌貴が手を重ねた。
「……杏…っ…」
唇が離れ、互いの唾液が入り混じった銀の糸が、私と煌貴の唇を繋ぐ。
自然と、視線が交わった。
「–––––– ハハハッ、相変わらずだな 煌貴」
薄っぺらい笑いが 響き、私は律さんへと視線を移した。
煌貴も、同じタイミングで律さんを見た。
「どういう意味だよ?」
笑いながら問いかけ、どこも怖さなどは感じられなかった。
「別に深い意味はねぇよ?この子も、大勢の中の一人なのかなって」
私をチラッと見て、意味深に答える律さん。
〝大勢の中の一人〟?
私には、律さんが言ってるいるコトは全く 理解できなかった。
だが、隣にいる彼は別で。
律さんの言葉に眉をしかめる。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える