社長様のモノ
第1章 派遣先は…
彼女は最初は、堪えるように目をウルウルさせていたが、
とうとう泣き出し、逃げるように立ち去った。
その途端に、見てないというオーラを纏って、周りの人たちは動き出した。
この時間 停止しているのは、私とこの社長だと思われる長身の男。
「あ、の…」
勇気を振り絞って 話しかけてみる。
すると、
「間宮さん。社長室へ行こうか」
ニコッと紳士的な笑みを浮かべた。
「は、はい…」
さっきとは 全く別人みたいだ…
私は歩いていく社長の後ろを小走りで追いかけ、社長室までの道を辿った。
「さ、入って。中川。暫くは 誰も通すな」
私を社長室へ招き、その社長室の前にいた執事さんみたいな人に、言った。
うわぁ…執事さんなんて 初めて見たよ。
「御意」
その執事さんの言葉を最後に、バタンッと扉は閉まった。
カチャリと鍵の閉める音が鳴り、ビクッと震える。
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