
センシティブ♥ボーイ
第27章 一人しかいない
「ゆっくりでいいよ…はい。お茶飲みながらゆっくり話してごらん」
先生が入れてくれたお茶を一口飲む。
泣きじゃくって寝起きの僕には喉を通るその感覚がとっても心地好かった。
喉を潤わして、坂本先生をちらりと見る。
すると先生はにっこりとして僕が話すのをじっと待ってくれた。
「ぼく……鈴木くんに……鈴木くんと…恋人…でした……でも…でも別れ…ちゃ……っぅ」
話す端からぶわっと涙があふれて、腫れぼったい瞼をごしごしとこすった。
「………どうして…別れちゃったのかな」
「ぼく…が……嫌いって…っ」
「……嫌いになっちゃった…?」
先生のその言葉にぶんぶんと首を振った。
嫌いなわけない。
嫌いになんてなれない。
鈴木くんのことでいつだって頭がいっぱいで。
いつだって鈴木くんのことを考えている。
僕は鈴木くんが大好きで。
ずーっとずーっと一緒にいたいって思ってた。
「すずきくん……僕が…きらい……」
だけど…鈴木くんは違ったんだ。
鈴木くんにはもう他に好きな人がいる。
僕なんかよりもずっとかわいらしくって、優しくって、思いやりのある、真由美さんが――。
