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少女グレイスと森の魔女

第4章 森の秘密

22『行方不明者』


「お婆さん、森で何人も行方不明になっているという話はご存知かしら?」

母が焼き上がった木苺のパイを持って話に入ってきた。


「ああ、知っているとも。あたしのせいにされているようだけれどね」


「お婆さんを疑っているわけでは決してありません。ただ、現在わかっているだけでも5人も行方不明になっているのです。
ですからグレイスをあまり森には、ましてや森の奥深くにまでなんてとてもやれません」


「平気だよ」
グレイスが割って入る。


「おだまり」
母、遮る。


「ふーむ」
老婆、考え込む。



グレイスがふと思い出して言う。

「そういえば前の町長さんもまだ見つかっていないよね?」



「ふーむ」

「グレイス、あんたは森の中で祭壇を見たろう?あの祭壇はなんのためにあると思う?」


「…わからないわ」


「あれはざわついた森を鎮めるためのものなのさ」


「えっ、じゃあ早く宝石を戻さないと」


「いいんだ。
森は代わりに別なものを望んでいる。

グレイス、あんたをね」



部屋は静まり返った。



まさか…
生け贄に?

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