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少女グレイスと森の魔女

第8章 森の奥へ

53『耳を澄ます』


グレイスはふと立ち止まる。



湖にほど近い場所でフクロウが何処かへと飛んでいってしまい、グレイスは道案内を見失ってしまったのだった。




フクロウの居場所を探ろうとグレイスは耳を澄ませる。

グレイスには自分であみ出した独自のやり方があった。

まず口をだらりと開け、手で耳の形に合わせて空洞をつくり、そして…



……



妙な音が聞こえてくる…。


それは日常でよく聞く。



ザクッ… ザクッ…



土を掘る音だ。



グレイスは誘われるように音のする方へと近付いて行った。





木々の間からは反射する黄色の光が洩れてきた。

どうやらその音の近くでは火も焚かれている様子だ。



グレイスは火の焚かれている場所へ忍び進んでゆく。




そして岩陰にたどり着き、そっと覗いてみる。

すると…




焚かれている火のそばで、男が一人、土を掘っているではないか。

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