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少女グレイスと森の魔女

第2章 昼下がりの森

8『魅惑』


「なんて綺麗な石なの!?
いつか聞いたことがある。これがエメラルドじゃないかしら?」


グレイスは持っていた籠を下に置いて石を手にとってみた。


日差しに当てて見たそれは、緑色の石の中に更に赤く丸い石が入っている。


「やっぱり綺麗…
これはきっとすごい宝石なんだわ!こんなの見たことないもの!」






どれだけの時間が経ったろう。

グレイスは魅力的な宝石に心を奪われていた。


突然、近くでカサカサッと音がした。


「!?」

グレイスは驚いて辺りを見回す。



グレイスが固まって聞く耳を立てていると、少ししてリスが近くを横切っていった。


「っはぁー……」


深くため息をつくグレイス。


いつもならリスを見て大喜びのグレイスだったが



……

グレイスは再び自分の手の中にある宝石に目を落とす。



陽は徐々に傾き始めていた。

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