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山岸君と照井君

第27章 曇天の入口―――……


宏樹の爪を剥がした…


麟太郎さんの手が―――――…




僕の頬を……包む…




僕の頬が……宏樹の血で…



包まれた――――――…







「宏樹――――――…


宏樹――――――――…」






僕は呟き……



麟太郎さんを見なかった…




まだ…溢れる涙の…向こうに…




宏樹の姿を…確認する…


















「―――――…宏樹が…


死んだら……



僕も死ぬ――――――…











一生…麟太郎さん…のモノにはならない――――…」













視界が歪んだ……



倒れている宏樹が……霞んで…



行く―――――――――…






「苑君!!なんでだ―――――――――――――!!愛してる、愛してる、愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる!!」






苦しい―――――――…


ああ…



僕は…麟太郎さんに…


首を絞められているのか…




殺される……のか…



愛って…怖いな…




霞む…視界には…宏樹しか…





見えてない――――――…





僕は…



宏樹の……モノだから…






これで…いいんだ…




宏樹……


僕たち……一緒だろ?



勉強するのも…


教師になるのも…


笑うのも…







死ぬのも―――――――…





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