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雨のち曇り、時々晴れ【ARS】

第21章 天使【潤】

俺は目が離せなかった。

あんなに追い求めた翔さんが、天使になって俺のもとに舞い降りてきた。

口をポカンと開けて見とれていた俺の顔は、さぞや間抜けだっただろう。

思わず腕を広げた。

待ち焦がれた天使を、俺の腕に抱きとめようと思った。

やっと俺のもとに来てくれた翔さんを、つかまえようと…。

でも実際は翔さんが俺の腕の中に来ることはなく、俺のすぐ隣に着地した。

俺の腕の中には、天使は舞い降りてくれなかった…。

装備を外して座席に戻る。

ニノが小声でささやいてきた。

「J、ニヤニヤしすぎ。」

ニノの方がニヤニヤしていた。

ひじで俺をツンツンしてきた。

「でも、アンタの天使を攻略すんのは至難の業だな。」

「な、なんだよ…」

ニノとこそこそしてたら、前に座ってた翔さんが振り向いた。

『てめぇらごちゃごちゃうるせぇんだよ…』

目で言ってた。
それはそれは凍りつくような冷たい目だった。

ニノと俺は震えあがった。

「前言撤回、天使じゃなくてサタンだよ…。」

ニノは顔をひきつらせながら言った。

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