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ネムリヒメ.

第8章 雨.





その頃リビングでは……



「…みっくーん、女の子に乱暴は感心しないなー」

「っ…せーな 葵、説教かよ!!」


壁に寄りかかって眉を寄せる葵の前で、ソファーにどっかり腰を沈めて濡れた髪を乾かす先程のオトコ…雅(みやび)の姿があった


雅は不機嫌に葵を睨み付けている

最高に口も態度もの悪いこのオトコ…

黒髪の一部を金色に染め、前髪の隙間から覗く目鼻立ちのキリッとした顔立ちは恐ろしく綺麗に整っており、不機嫌といえどその風貌からはただならぬオーラを漂わせている

スラッと長身の彼のはだけたシャツからは、引き締まって割れた腹筋が見え隠れしていた



「雅くん怖いんですけど…」

「………」

「ムシしないでくんなーい」

「で…なんなの、あのオンナ!? 渚さんのなに?」

「みっくん、あのねー……はぁ……」


さっきからずっとピリピリしている雅に、葵は肩を落として大きなため息をついた





渚といえば、さっき玄関で…


「葵…この傘は?」

「それ……ちーちゃんがナギにって、さっき…」



「……そぅ」


傘を元に戻しながら葵とこんな会話を交わしたあと、雅に目をくれることもなく無言で部屋に戻っていってそれっきりだった


ナギ…相当怒ってたなー…

まぁ、気持ち…わかるけど…


そんなことを考えながら、葵は二階にある渚の部屋の方を仰いだ





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