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ネムリヒメ.

第8章 雨.




「聖、ちーちゃんは?」

「ぁぁ、やっと少し落ち着いたよ」


聖は葵と言葉を交わすと、ひどく睨み付ける雅に目をやった


「…お前のせいでひどくご乱心だよ、渚くん」


冷たく蔑すむ栗色の瞳で雅を刺すように見る聖


「久しぶりに見たかも…あんなに怒った魔王みたいな渚くん」

「あ゛!? …んなの知るかよ」

「雅……それ本気で言ってんの…」

「はぁ!? お前も説教かよ!!」


雅は葵を突き放して、殺気に満ちた目で今度は聖に食って掛かる

すると聖はふっと口角だけを曲げて顔を歪めた


「雅…もしかして彼女のコト覚えてないの!?」

「はっ!? あんなオンナ知らねーし」

「…そぅ……」


眉を吊りあげて凄む雅に、なんら態度も変えずしばらく何かを考える聖



そして…



「…ま、いっか!!」




「はぁ!? わけわかんねぇ」


「いやいやいや、聖…よくないでしょ!!」


開き直ったような口調の聖に、すかさず葵の突っ込みが入った




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