テキストサイズ

ネムリヒメ.

第15章 イチゴタルト.






「タルトがオレに食べてって言ってたし…」


いやいや、たぶんそれアタシに言ってたんだよ
アタシの分だから


「それに…」


さらにイチゴを口のなかに入れられて、甘いソースが唇の端から垂れそうになった





「一緒に食べたかったから…」



…ペロッ


聖くんの顔が近づいて、唇の端から垂れたイチゴソースを舌先で舐めとっていった


「…………!!」


わ、忘れないでアタシ…

聖くんが食べてるのアタシのだからね!!

横取りされてるんだからね!!

こんな…

不意打ちに心臓ぶち抜かれてる場合じゃないんだからぁぁぁあ!!


「ね、一緒に食べた方がおいしいでしょ!?」


ドキンっ…!!


あ…ダメかも…


固まるアタシに無邪気な笑顔を向ける聖くん

そして彼はあろうことか、停止中のアタシの肩に頭をつけるように寄りかかって上目遣いで見上げてくる

空気が揺れて、タルトよりも甘い聖くんの匂いがする


「ちーちゃんの分ってわかってたけど、我慢できなかったんだよね…」


アタシを見上げる彼の綺麗な丸アーモンド型の目に円らに揺れる栗色の瞳





ストーリーメニュー

TOPTOPへ