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ネムリヒメ.

第18章 不機嫌な Navy Blue.





ポツリと呟くように吐いた言葉たちが冷たい風に乗って消えていった

でも、雅くんから返事はなかった

彼はずっと黙ったままどこかを見つめていて、海風にグラスの氷がカランと音をたてる


それからしばらくして…


「…なんだそれ」


ようやくだけど返ってきたそんな言葉と、向けられる不機嫌な視線


「つーか、お前…オレのことなんにも知らねぇだ…」

「っ、知らないけどっ!!」

「…………!!」


知らないけど…でも

向けられる鋭く刺すような視線に、返されても当たり前の彼からの言葉を自分の声で遮ると、アタシはゆっくりと息を吐き出す


「アタシだって雅くんのコトなにも知らないけど、でも…」

「……………」


ちゃんと気遣ってくれて…

言葉の割りには本当は優しくて…


「アタシが今日知った雅くんはそんなんじゃなかったから…」

「っ……!!」


まっすぐ彼を見上げると、揺れる水面の淡い光を映した瞳が大きく揺らいだ気がした


しかし……


「バッカじゃねーの」

「…………!!?」


ば、バカって……

すぐにそう不機嫌な声を返される


「お前、オレが優しいとか思ってんじゃねぇだろうな」

「え…あ……う、ん」


図星を指されぎこちなく頷く

すると、


「はぁ…んなの、泣かせてアイツらに海に沈められたくねぇからに決まってんだろ!!

…勘違いしてんじゃねぇぞ」


「っ………………」





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