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ネムリヒメ.

第21章 あの夜の王子様.






そんな声と共に、彼のカラダに置いた手に温かいものが重ねられた


「…………!!」


雅くん、起きてくれた!?

ハッとして彼の顔に視線を移すと、閉じられていた瞼がゆっくりと持ち上げられる

目覚めたばかりの虚ろな瞳がアタシを捉え、重ねられた大きな手がアタシの手を包み込んだ


「…なに見てんの」

「え…」


少し目を細め、少し意地の悪い笑みを唇にのせる雅くん


「見惚れる程だった…!?」

「っ……!!」

「オレのカラダ…」


寝起きのせいなのか、いつもの刺々しさも不機嫌さもなく、向けられる眼差しは柔らかい

これが保証された寝起きの良さか…

渚くんや葵くんと比べるのもなんだけど、いつもの雅くんとはまるで別人のようで胸がトクンと変な音をたてる

っていうか…見とれてたのバレてるし!!


「顔赤い…」


少し掠れた声と柔らかい口調…

熱くなった頬を雅くんの指が滑る

初めて触れられたその感触に、鼓動が大きく飛び跳ねる


雅くんって…こんな顔もするんだ…

初めて見る甘く微笑んだ彼に瞳をくぎ付けにされながら、ドレスを選びに行ったときに彼が女の子を一撃で悩殺していたコトを思い出す

同じモノが今、実際に自分に向けられている


「っ……」


っていうか…雅くん、寝ぼけてるの!?

いくら渚くんお墨付きの寝起きが良さと言えど、きっとそろそろ完璧に目覚めた彼に「触んな!!」とか言われるんじゃ…

覚悟はできてるからね





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