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ネムリヒメ.

第21章 あの夜の王子様.







だけど、急になにか怖くなってアタシは雅くんの胸元を押し返す


「やだ…」


それだけ言うと瞳から涙がボロボロと零れ落ちた


─どうして…


辻褄が合わなすぎる現状

たくさんの"どうして"が浮かんでは消えていく


しかし、そんな戸惑いは


「泣くんじゃねぇよ…」


甘い声と再び重ねられた唇の感触に打ち消されてしまった


「ん……ぅ……ゃ…め…」

「は…あ……」

「っ………ふ……ぁあ…っ」


繰返し熱い吐息に何度も唇を塞がれる


「みや…び、く…待っ…て」

「ちぃ…」


有無を言わせない強さでアタシの唇を押し開き、その口づけは徐々に甘く、深くなる

差し込まれた熱い舌は荒々しくも優しくて…

舌先で口内を撫でられるたび、ゾクゾクと痺れるような感覚が背中を駆け抜けていく


「ふ…んんッ…ぁ…」


鼻から抜ける甘美な声

気がつけば彼の舌の動きに翻弄されているアタシ…

ピクリとカラダを揺らせば、勝ち誇ったように妖美に微笑む雅くんが追い討ちをかけるように、濡れた音を響かせる

ごちゃごちゃになった頭のなかは意図も簡単に真っ白に飛ばされ、頭の芯がボーッとする感覚を覚えた


「は…あ、このまま……れろよ…」


乱れた吐息の間を縫い、掠れた声をもらす彼

艶やかに熱を帯びた鋭い瞳が息を乱すアタシを見つめる


「ん……ぁっ…」


返事もできず、唇から零れるのはすべて甘い吐息

綺麗な指先が彼自身が飾ったパールのピアスを揺らして、耳の後ろを通り首にかけて撫でるように敏感になった肌を滑る


そして、目を細めピアスに唇を寄せた雅くんは…



「思い出したかったら

  ……オレに…抱かれろ」



ビクッと震わせた耳元に優しい口づけとそんな囁きを落とした





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