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ネムリヒメ.

第22章 あの夜の…….





「っ………」


な…に…この状…況…


頭のなかもカラダも真っ白で固まってるアタシの目の前で、睨み合うふたりの空気は一触即発で…


するとそこへ


「ああもう、急いでんの!!葵くんてば邪魔っ」

「ちょっと、なんなの…聖こそ!!」

「引っ張んな、ボケ!!」

「ったあ───!!」


扉を破り飛び込んでくるそんな声

雪崩れ込むように入ってきたのは声の通り、聖くんと葵くんだけど


「「…………っ!!」」


ふたりは御約束というように、目の前の光景に目を見開いて沈黙した


目の前の光景というのは無論…

ソファーのうえで乱れたままぐったりするアタシの前で

上半身裸で不敵に笑う雅くんと、冷たい視線を突き渚くんが至近距離で睨み合ってる状態

なにがあったかなんて、誰が見ても嫌でもわかるそんな光景で…


「ね…聖、あれ…本当に王子様…なの」

「さぁ…魔王とバトってるあたりは王子様なんじゃん」


部屋に入るなり立ち止まっていた葵くんと聖くんから、わけのわからない会話が聞こえてくるけれど

目の前のふたりは互いから視線を外すことなく、振り向きもしなかった


少しでも触れたら爆発してしまいそうなふたり…


ね…なんで……


頭がはっきりとしてくるにつれて改めて、知らない雅くんとのさっきまでの事情と、目の前で睨み合うふたりに生じる戸惑いと混乱…


瞼のなかに溜まりきらなくなった滴が頬を滑り落ちて、掛けられた雅くんのジャケットに染みを作る




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