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ネムリヒメ.

第23章 薔薇の刺、棘の鎖.









アタシ…なに言ってるんだろう…


でも…

このままじゃおかしくなっちゃうの…


だから


─誰か…


「はや…く…」


─助け…


「…触っ、て」


て………!!


アタシの吐息混じりの震えた声は、けして大きくはないけれど、自分の耳だけではなく明らかにオトコの耳にも届いた

その証拠に、目の前で妖しく喉を鳴らしながら手錠の硬い音をカチャリとたてるオトコの目が艶やかに細められる


「イイコだね…」


オトコの手が背中に回ってパツンと弾かれたような衝撃に胸元の締め付けがなくなる


「は…ぁ…」


それだけでだらしなく開いたままの唇から声が漏れた

硬くなって上を向く胸の頂きが、纏っていた布に擦れる感覚にビクンと肩があがる


ちょうどその時だった


「………!!」


突如耳をつんざく、けたたましい電子音

その音がふやけた頭のなかに、侵食された理性をほんの少しだけ呼び戻す

着信を告げたのはオトコの携帯電話だった

しつこくも鳴り止まないその音に、オトコは見るからに仕方なくベッドの隅に脱ぎ捨てたジャケットに手を伸ばす…

が、

画面でコールを鳴らし続ける相手を確認したとたん、オトコはニヤリと意地悪い笑みをアタシに見せた


「…誰だと思う?」

「っ…!?」


突然投げ掛けられたそんな質問…

だけどそんなこと知るよしもない


しかし、一瞬ハッとする

どうしてアタシに聞いたんだろうか…






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