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ネムリヒメ.

第23章 薔薇の刺、棘の鎖.









すると、


「さて、そろそろ時間だ…」

『は!?』

「…ッ……」


オトコは腕時計を確認しながら、電話の向こうの渚くんと目の前のアタシの両者に笑いかける

訳がわからないけれど、その言葉に背中がゾクゾクして、緊張状態のカラダを小刻みに振るわせて再び昇りつめてしまう


「千隼…鳴いたら撃っちゃうかも」


え…な、に…


アタシの耳元から脳内に響かされたそんな言葉

しかし頭がオトコの言葉を理解する前に、その指先が再び胸の頂きの蕾を押し潰した

…途端に今までよりももっとも強烈な感覚がアタシを襲う


「…ッ…ふ…」


なに…これ…ッ…!!

い、や…ッ…ぁ


強めにつまみあげるオトコの指

その刺激に、電流が下腹部に流れ込んでいって、真っ白な頭のなかで何かが爆ぜる


こんなの…ッ…

こんな、感…覚っ…知らな、い

胸の一部を触られてるだけなのに、変っ!!

カラダ芯から震えがきて、アタシを深い快楽の底に押し上げる

さっきと違う…おかしくなっちゃう!!


「ぁッ…!! ぃ…や、ッ…!!」


呼吸をするのも辛いくらいだ

声を殺すなんてもってのほかで、唇から乱れた喘ぎが溢れ出す


ダメッ…

ダ、メッ…


身悶えてガチャガチャと手錠が激しく音をたてる

そしてとうとう快楽のボルテージがその針を振り切った


「───────!!」


……!!


その時、だった。

聞き慣れない渇いた大きな音が、アタシのあげた甲高い悲鳴を掻き消した






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