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ネムリヒメ.

第23章 薔薇の刺、棘の鎖.






「さて、本当におしゃべりはここまでにしようか」

「……!!」


手錠を引かれ、軋む羽の積もったベッド


「それに、もう時間だからこんなものも必要ない」

「……ッ…!?」


え……


上手く声が出せないでいるアタシに目を細め、オトコはここでずっと手にしていた拳銃を手放した


な…に…

それは何を意味するのか…


本来ならばその行為に最大の恐怖から解放されるはずなのに、不安が過って仕方がない


「ほら…千隼、なんの時間だかわかる?」

「────!!」


そんなアタシのカラダに触れるオトコの手

途端に快楽という名の銃弾がアタシのカラダを貫いた

指先が首筋をなぞっただけだった


それなのに、今まであり得ないくらいの強烈な感覚が肌を這う

なに、…これ


「…ひゃ、ぁあ!!いっ…、や」


止まりそうになっていた息がたちまち乱れて、声すら上手く出せなかった口から甘い声が悲鳴となって溢れだす


オトコが口走った言葉の意味は明確だった

言われなくてもその状況下に陥った今の自分が一番よくわかる


「…クスリが完全に効く時間」


恐怖で瞬間的に抑制されていた快楽が舞い戻って、一気にカラダが覚醒に導かれる

触れられるだけでこの有り様だ

こんな状態で責められたら自分はどうなってしまうなだろう…


「ッん…う!!」


恐怖をも感じてしまうそんな想像と自覚のない欲求は、枯渇することを知らない泉からの源泉をさらに沸き上がらせる





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