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ネムリヒメ.

第4章 楓─maple─.








「ちょっとナギ、そのへんにしときなって」


楓が鬼って、渚くんこそ十分鬼対応なんですけど!!


「あんまりちーちゃんのコトいじめないの…よしよし」


渚くんにバカにされて涙目で膨れるアタシに、葵くんがヨシヨシとここぞとばかりに抱きついてきたんだけど、もうそれどころじゃなくて…


「もう、なにがそんなにおかしいの!!」

「っ悪い、久々にツボに入った…」


綺麗な顔をして毒をはき、挙げ句の果てにはお腹を抱えて未だに大爆笑をしているこのオトコは一体なんなんだ


鬼、悪魔、ドS!!


それから、渚くんに向かってむくれて声をあげるアタシに、まぁまぁ…と葵くんと聖くんが楓の話をしてくれた


楓が若くして建築デザイナーとして独立して日本で成功しているコトとか

本当にここの屋敷を楓が建てたコトとか

こっちでの最近の楓についていろいろなコトを教えてくれた


楓とは時々連絡はとっていたし、前に日本にきて会ったときは大きなタワーマンションに住んでいたから、生活の変わりようにはちょっとだけ驚いているけど…




ようやく頭も冷えて、ふとダイニングから窓の外を仰ぐと、遠くの空が徐々にオレンジから紫色へと変わろうとしていた


楓に早く会いたいな…


もうすぐやってくる夜の気配がそんな想いをいっそう募らせた




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