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ネムリヒメ.

第25章 Black Emperor.





こんなにも不快な思いは初めてだった


どんなオンナを抱いても平気だったのに…

なにも感じなかったのに…


「ッ……やっば…」


拭っても拭っても不快感はなくならない


…今まではまるで、遊び感覚だった

暇潰しのゲームでもするかのような感覚で、聖は異性のココロとカラダを弄んできた


だって…

"男女の色恋沙汰なんてゲームだ"

ただの自分に堕ちるまでのプロセスや駆け引きを楽しむだけのゲーム

相手が堕ちたらそこで終わり、すなわちゲームオーバー

球技でいったらゲームセット

すごろくでいったらアガリだ

それがいつのかまにか出来上がっていた彼のなかの不動のルールだった


そんなノリで面白半分、人のモノは欲しくなる

渚や葵のオンナを寝とるコトも日常茶飯事だった

だけど誰もなにも言わなかった


歪んでるって!?

知ってるよ、そんなの…

みんな知ってる


だって…

どれだけの人間が自分を自分として見てくれたと思う

今まで自分をまっすぐ見てくれる人間がどれだけ周りにいただろうか…

飾りとしてではなく、利用価値のあるモノではなく、自分自身を…


─好きよ

違う…
好きなのは、ショーウィンドーに映るオレの隣で優越感に浸って笑う自分の姿でしょ


─貴方が欲しいの

違うよね…
欲しいのは、自分にもれなくついてくるステータスと財力でしょ


…わかってるよ

そんなのばっかりだったから…





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