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ネムリヒメ.

第26章 夜明け.





"ゴメン…"


蓋を抉じ開けて溢れそうになる感情をどんなに抱えても、ただそんな軽い言葉だけは間違っても言えなくて…


─オレにこいつをどうしろっつーんだよ


「ッ…く…そ」


思わず悪態をつく雅の脳裏に浮かぶのは自分に彼女を任せて部屋を出た渚と葵の姿だった

それに加え、一度戻ったにも関わらず再び部屋を飛び出していった聖の姿が重なる


「………」


雅だってバカじゃなかった

状況と適材適所という言葉があるとはいえ、あの3人がどんなに想いで彼女を自分に託して部屋を出ていったのかだなんて…

そんなの考えるまでのことなんかじゃないっていうのは、自分自身本当はよくわかっていた


それに、

あの夜と同じ状況で、あの夜とは何もかもが違う腕のなかの存在を

ただただ、このままにしておくわけにはいかないということだけが事実…


「ちぃ…」


雅は千隼の腕をそっと取り、赤く擦りむけ痣になった手首に静かに唇を落とした

触れたそばから、彼女の肩が小さく跳ね上がる

だけどもう躊躇わなかった


「もうお前を縛るものはないから…」

「ふ…っああ!!」


シーツのなかに手を滑り込ませ脚を割れば、けたたましい悲鳴が口を割る

少し圧迫するように下腹部を刺激すれば、彼女からドロリと溢れだした白濁した液体が雅の指を汚していく

指に絡み付く濡れた欲望の爪痕…

それを掻き出すように雅は千隼のなかへ指を沈めた





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