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ネムリヒメ.

第26章 夜明け.







「さーてと♪適度な糖分も接種したし、光合成もしたし♪」

「光合成って植物かよ…」

「え、雅違うの?」

「あ!?」


空高く登った太陽の下、潮風に乗せられる極めて上機嫌な声と不機嫌な声のハーモニー

予期せぬ魔王が降臨したベッドルームから間一髪彼らと緊急脱出を果たしたアタシは、その足で部屋から連れ出され外の風に当たっていた


「つーか、お前の飲んでるそれこそ生き物としておかしいだろ」

「そ?アオムシのゴハンみたいなの飲んでるお前よりはよっぽどよくない?」

「…よくねぇよ」


人気のない屋外のプールサイド

渚くんの計らいか人払いが施され、そこにいるのは聖くんと雅くんとアタシの3人だけ

着替えもせずガウン姿のままパブリックスペースの一角を占領することを許され、聖くんはメープルシロップとクリームたっぷりのパンケーキ

雅くんは聖くんの言った"アオムシのゴハン"こと、オーガニックなグリーンスムージーとサラダでと、それぞれ思い思いの朝食を口に運んでいる

朝食というよりは日の高さからしてブランチという方があっているかもしれない


「トマトも食べなきゃ立派なモスラになれないのにね、ちーちゃん」

「バカか、アオムシはトマトなんて食わねぇんだよ。お前ら、はらぺこなあおむしの話も読んだことねぇのかよ」

「えー、食べるアオムシもいるんですー。そんなのも知らないなんて、雅ってばアオムシ失格♪あははっ、それ以下だね♪」

「……クソガキ殺す」






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