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未知夢

第3章 酒席

 自分は従業員としての考えの発言だったが、森屋は違った。


 それは、もちろんのことだが、立派な上の者の考え方だった。


 店内は落ち着いた木造仕立てで、至る所に提灯が飾られている。


 繁が店の奥の座敷に案内されると、森屋は端に積まれている座布団を出した。


「上がって座れよ。久しぶりの再会だ。ご馳走するよ」


「えっ!?」


「気にするな。俺の店なんだから」


「……悪いな」


 繁は頭を低くして座敷に上がる。テーブルの下は四角く堀ごたつ状になっており、足を楽に出来る。


 森屋も座敷に座ると、従業員の一人を呼んだ。


「おい、こちら汚いけど俺の昔の友人なんだ。出来るものでいいから何か持って来てやって」


「汚いは余計だろ」


「冗談じゃないか、ウケてるだろ」


 従業員はまゆひとつ動かしていなかった。


 二人はテーブルを間に挟んで向かい合わせとなった。


 森屋は言った。


「ところで、お前は今はなにしてるんだ? 今日は休みか?」


 ついに来たか、その質問が……。




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